歯科医院のマーケティングは競合対策のためか?

さて、ここまでマーケティングの流れについて全体感、①〜⑥と7回に渡って書いてきました。
今回は何故、歯科医院にマーケティングが重要なのかを書きたいと思います。少し長くなりますが、お付き合いいただけたら幸いです。


マーケティングが大切な理由、
・1つ目は医院の“ありたい姿”と医業収入を両立させるため
・2つ目は患者様との信頼関係を構築し、業界GDPを改善するため
です。


まず1つ目です。
ここまでの7回を読んでいただき、お気付きの方もいるかも知れませんが、マーケティングは「ただ売上を伸ばすため」だけの物ではないと私は考えています。
一番大切な事は「ありたい姿」に近付いていく事です。

これが1つ目のマーケティングが大切な理由です。


もちろん、“ありたい姿”が「医業収入を伸ばしてお金持ちになりたい」という場合も立派な“ありたい姿”ですので、そうした場合はマーケティングは売上を伸ばす為の方法になります。

例えば“ありたい姿”が「自分の得意とする治療を望む患者様を増やしてやりがいを得る事」や、「地域に頼られる・感謝される存在として貢献したい」という気持ちであっても、それらの“ありたい姿”と売上はトレードオフの関係にはありません。どちらも自身の望む水準を目指していくべきだと思います。

これは、地域の他の医院との競争に勝つ事だけで得られるものではありません。ありたい姿とそれを実現する治療のクオリティ、そしてそれを一対一・一対多の患者様に広告や接客・治療の場面で伝え、関係性を築いて行く事でミスマッチを減らすことが重要です。



そして、2つ目です。

一方で、歯科医院が置かれている環境が厳しくそんな綺麗事はやってられない、という現状もあるかと思います。
これは、よく言われている「医院が増えて患者が減っている」という話で、業界GDPが右肩下がりである前提で1院あたりの売上が下がっているという状況に起因しています。
業界の売上を大きく捉えると人口×一人あたり通院頻度×一回あたり単価となります。
当然、頻度・単価を上げていく事が大切で、予防への取組や自費診療の増加を目指す医院が増えていますが、業界GDPはなかなか上がりません。
その原因として大きいのは歯科医院が患者様にネガティブな印象を持たれていることで歯科医院に行きたいという人が少なく、自費を提案されると身構える人が多いという状況です。
患者様にインタビューをすると、ネガティブな印象は決して「痛いから」とか「削る音が苦手」というような簡単な話ではありません。


患者様がどんな体験をしているのか、インタビューを基に書いてみます…

一部の時間をかけて医院を選ぶ患者様を除けば、ほとんどの患者様は医院を選ぶ際にどのような基準で選べばいいか分からないまま、写真の雰囲気や立地で選びます。
受付でまともに迎え入れもされず、おもむろに問診票を渡され、ユニットに促されます。そして説明もそこそこに、言われるがままに治療がスタートしていきます。
「痛かったら手を上げて」と言われ、来るか分からない痛みの緊張に耐え、次回の予約を取って帰る。
患者様が体験するこの一連の流れの中に、治療に納得をし、医師との信頼関係が作られる場面がなく、医院選びから治療完了までモヤモヤし続ける事になります。
実際、私も通院中の友人から良い歯医者はないか?と聞かれる事が本当に多いです。

このような体験の中で、患者様は何を思うでしょう。

歯医者は痛い時に行くもので、出来るなら行きたくない。
自費を勧められても、医院が儲かる為じゃないかと考える。
(この業界に参入した頃、歯科医院が私達のようなパートナーに抱く感情と似ているなと感じました。そんなイメージをしていただくと患者様と歯科業界の関係性がイメージしやすいのではないでしょうか。)
もちろんそうでない素晴らしい関係性を患者様と作っている医院様がたくさんありますが、患者様がそれを探し出す術がありません。

だから“歯医者は…”と業界全体への信頼感が醸成されにくくなってしまい、そのために歯が痛むまで通院せずに、痛んでから写真の雰囲気と立地で選び…という負のスパイラルが連綿と続いてきている状態なのです。


私はこのスパイラルを断ち切るには、患者様と医院のミスマッチを無くすことが最も重要だと考えています。
100人いれば治療やサービスのクオリティ、立地、価格など求めるものはそれぞれ違います。
マーケットからそういった患者様のニーズを汲み取り、自院のありたい姿とマッチする患者様を呼び込む。そして、この医院ならこの先生ならまた来たい、信頼できると思っていただく。
こうした医院が今より更に増えていく事で、患者様が自分にあった医院に出会える環境が出来ると、業界視点でも頻度と単価が上がりやすくなっていくのではないでしょうか。


その実現に近付いていく事こそがマーケティングの役割で、決して広告だけを少し改善したり、地域の他の医院との競争に勝つためだけのものだったりではない、というのが私の提供したいマーケティングです。
専門性の高い医療分野ですので、患者様の顕在化されたニーズに迎合するだけではなく、潜在的なニーズを汲み取って患者様を導いていけるように歯科業界が進んで行く、その一助になるべくマーケティングパートナーとして伴走していきたいと思っています。

そうして、歯科の先生たちの力で、高齢になってからも健康で活力ある人が増えていく世界が実現していけば、私自身の“ありたい姿”にも近付いていきます。


with屋で一度にマーケティングサポートをさせていただけるのはせいぜい10院様くらいですが、出来るだけ多くの医院に無料マーケティング診断などを通じて手法をお伝えさせて頂ければ嬉しいと思います。このブログでもそういった考えで手法を書かせていただきました。

今、上手くいっている医院様も、そうでない医院様も状況に合わせて色々お話しさせていただけると嬉しく思います。是非お気軽に下記のフォームからお問合せ下さい。

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歯科医院向けマーケティングパートナーのwith屋。 歯科医院のマーケティング改善の提案・伴走支援を行っています。 マーケティング戦略~企画・実行・改善までを支援し、一貫性ある患者コミュニケーション設計が可能です。 コンサルティング・アドバイザリーに閉じず、実装までを“提案の主体者”として伴走するため、「実行」のハードルが下がります。